設計上のご注意

■拘束

特殊モーターが搭載されていますので、万一通電状態で短時間拘束(ロック)されてもコイルが焼損することはありませんが、繰返し拘束されますとコイルが温度上昇し、徐々に絶縁部分が劣化してモーター焼損の原因となります。拘束の状態が数秒の場合は、モーターローラーの電源を切る必要はありませんが、10秒以上になる場合はリミットスイッチ、リレー等で非通電にするかアキューム型のご使用をお推めいたします。

■温度上昇

モーターローラーは、周囲温度-10℃~+40℃でご使用ください。
通常運転時には、モーターローラーの外筒温度が周囲温度より、約20℃上昇しますが焼損の心配はありません。

■間欠運転

電源をON、OFFされることにより、モーターローラーが回転と停止を繰り返す状態を間欠運転と呼びます。
間欠運転の最短タクトタイムは、コイル温度の関係よりおおむね次の通りです。

■慣性

  • モーターローラーの電源をOFFにしてもモーターと搬送物の慣性により即停止いたしません。
  • 慣性はモーターローラーの速度及び型式・搬送物・重量・使用時間などにより異なります。

■過負荷

標準型(Sタイプ)においてカタログ周速度の60%以下での連続使用は、過負荷となりモーター焼損の原因となります。カタログ周速度の60%以下で連続使用の場合は、アキューム型(Aタイプ)をご使用ください。

■接続部速度差

同一ライン内や、接続部分で搬送速度が変わる場合、急激な速度変更はモーターローラーに強い衝撃を与えますので避けてください。

■コンベヤー面レベル

  • 搬送物の底面やコンベヤーローラー面の水平精度が悪いと、空回りや搬送物の方向がゆがむ原因となり、とくに重量物では実荷重を受けるローラーの許容荷重をこえる場合がありますのでご注意ください。
  • 軽量物(約5kg以下)の場合は、フリーローラーの抵抗により、スリップして搬送できない場合がありますのでフリーローラーラインで、手で駆動してご確認ください。
  • 搬送物の荷造バンド、底面中心のふくらみ等により、搬送物が斜めになることがあります。このような場合は両端ゴムライニング仕様をご使用ください。

■選定のしかた

モーターローラーの選定は、次の三要素から決めてください。

  1. 搬送物重量とモーターローラー許容荷重。(「耐荷重」参照
  2. 接線力。
  3. 搬送物底面形状と大きさ。(底面形状が平滑でないダンボールケース等は1ケースあたり2本以上のモーターローラーを使用してください。)

■取り付け方法

  • モーターローラーのパイプと軸がフリーローラーと同径のときはフリーローラーの軸穴をそのまま利用できます。
  • 寸法が異なるときは、フレームの軸穴を変更してフリーローラーと高さを合わせ荷重が均等にかかるようにしてください。
  • 搬送物の材質・平滑度によりモーターローラーに接触しないときは、最低1ケース当たり2本のモーターローラーをご使用いただくか、もしくはやや高目の位置になるようにしてください。この場合荷重はモーターローラーだけで受けることになりますので、モーターローラーの許容荷重に充分ご注意ください。

■モーターローラーの本数の決め方

一般的に、搬送に必要な接線力は次の式で求められます。
(搬送物の重量・底面の大きさ・材質・平滑度に関係します。)

F = μ・9.8W
 F = 必要接線力(N)
 W= 搬送物の重量(kg)
 μ= 搬送物の底面の材質による転がり摩擦係数

μ : 材質による転がり摩擦係数

モーターローラーの本数は必要接線力 F とモーターローラー1本当たりの接線力 f とを比較して決定してください。
モーターローラーの必要本数 = F ÷ f(本)

例1 57S型60Hz

搬送物の形状・重量より、ローラー幅500、ピッチ100を選定します。
搬送物の重量w=30kg、段ボールの転がり摩擦係数μを0.075としますと、搬送に必要な接線力Fは
F = μ・9.8w = 0.075×9.8×30 = 22.05(N)
搬送物に22.05Nの接線力がかかれば起動発進します。

電源:三相200V 60Hzとした場合
標準型57S4~57S25型まで、すべて1本で起動します。

モーターローラー1本にかかる荷重は、30kg÷4本=7.5kg
許容荷重範囲内です。この場合にはレベルが高くて1本で受けたとしても許容荷重内です。

例2 57S型60Hz

搬送物の形状・重量より、ローラー幅1000、ピッチ100を選定します。
搬送物の重量w=300kg、木製パレットの転がり摩擦係数μを0.035としますと、搬送に必要な接線力Fは
F = μ・9.8w = 0.035×9.8×300 = 102.9(N)

電源:三相200V 60Hzとした場合
標準型57S4~57S6まで、1本で起動できます。

モーターローラー1本にかかる荷重は、300kg÷9本=33.3kg
1000幅の許容荷重50kgの範囲内ですので、
ご使用になれます。

起動速度が重要視される場合、または底面の平滑度が悪い場合は安全をみて本数を多くしてください。
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